慢性肝障害を有した労働者(肝炎労働者)は多いが,労働が慢性肝障害の経過に及ぼす影響は明らかでないため,肝炎労働者を3年間追跡調査し,作業内容や疲労などと肝障害の関連を検討した.結果,肝炎の活動性に影響する作業関連要因は認められず,疲労と慢性肝炎の増悪の関連もなかった.また,急性増悪と作業関連要因や疲労との関連もなかった.観察期間内で作業関連要因別のトランスアミナーゼ値,血小板数に有意な変動はなかったが,急性増悪を生じた例では血小板数の低下傾向がみられた.今回の調査結果からは作業関連要因が慢性肝障害の経過に及ぼす短期的影響は少ないと考えられたが,今後大規模な研究が必要であると思われた.