近年腹腔鏡の役割は診断から治療へ変化してきた.しかし腹腔鏡下肝生検は,不均一な分布を示す病変や色調変化の評価,十分な大きさの組織を選択的に生検可能,腹腔内病変の観察など,他の検査では困難な独自の診断能を有し,今日なお重要な診断法である.腹腔鏡が最も有用な疾患として,B型·C型慢性肝炎から肝硬変への進展度評価と進行予測,自己免疫性肝疾患(自己免疫性肝炎,原発性胆汁性肝硬変など),代謝性肝疾患(非アルコール性脂肪肝炎,Wilson病など),薬物性肝障害,腹腔内疾患(結核性腹膜炎,腹膜中皮腫,Fitz-Hugh-Curtis症候群など)が挙げられる.代表的な疾患の腹腔鏡診断を写真とともに概説する.