無石胆嚢炎の臨床像を明らかにすることを目的にretrospectiveに検討した.対象は,無石胆嚢炎113例であり,検討項目は,背景,成因,治療法と転帰,再発率,とした.成因では,機能的な胆汁うっ滞が34例(30.1%),器質的な胆汁うっ滞37例(32.7%),不明36例(31.9%)であり,機能的胆汁うっ滞の82.4%が院内発症であった.器質的胆汁うっ滞は1例を除き院外発症であり,このうち胆道系腫瘍が9例(胆嚢管癌5例,胆嚢癌3例,乳頭部腺腫1例)にみられた.院内発症の原因の多くが機能的胆汁うっ滞であるのに対し,院外発症には器質的胆汁うっ滞が多く,特に胆道癌の存在を念頭に置く必要がある.