2008 年 105 巻 3 号 p. 373-381
塩酸ゲムシタビン(GEM)発売後の切除不能膵癌症例に対する診療の実態を明らかにするために,北陸3県医療機関の内科医師にアンケート調査を行った.254例中72.4%で治療が行われ, GEMを含むプロトコールが90.7%で選択され,そのうち37.8%の症例では,用量や投与スケジュール変更などの工夫がとられていた.治療例の生存期間中央値は8.2カ月であり,GEM単剤治療と他剤併用,放射線治療併用で差は認めなかった.予後因子として,年齢,PS,病期,腹水·胸水の有無,治療の有無が挙げられた.北陸地区においてGEMを中心とする治療が広く浸透し,症例に応じてさまざまな工夫が試みられていることが明らかとなった.