2008 年 105 巻 4 号 p. 486-493
自己免疫性膵炎の診断に関して,わが国の診断基準の現状を述べるとともに海外との比較についてのべた.わが国の「自己免疫性膵炎臨床診断基準2006」(厚生労働省難治性膵疾患調査研究班,日本膵臓学会)は,(1)膵臓病の専門家や消化器病の専門医だけでなく,一般医家をも対象にする,(2)本症と最も鑑別すべき膵癌や胆管癌などの悪性疾患をできるだけ排除する,(3)全身疾患である可能性はあるが,各膵外病変の診断法が確立されていないことより,膵病変に限定された診断基準である,(4)ステロイドの診断的治療は避ける,などのミニマムコンセンサスの立場である.一方,海外からは,ステロイドの効果や膵外病変を含む,より広範囲な立場をとる診断基準が提唱されている.