日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
今月のテーマ:急性膵炎重症度判定基準の改訂をめぐって
急性膵炎重症度判定基準2008改訂―検証と今後の展開
片岡 慶正
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2008 年 105 巻 8 号 p. 1166-1173

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抄録

2008年厚生労働省難治性膵疾患に関する調査研究班においてより簡便で,明快かつ客観的な急性膵炎重症度判定基準が新たに改訂された.重症急性膵炎の救命率を向上させるためには,発症早期の的確な重症度評価が最重要であり,9項目の予後判定因子と造影CT所見から重症度判定が可能となった.臨床徴候と動脈血採血を含めた血液検査から成る予後因子9項目中2点以下を軽症,3点以上を重症とする.一方,炎症の膵外進展度と膵造影不良域の組み合わせ評価から成る造影CT Gradeを独立させ,造影CT Grade≥2であれば単独でも重症と判定できる.この新たな改訂基準により,いつでも,どこでも正確な重症度判定が可能となり,発症早期の重症例の検出とその後の高次医療施設への搬送を含めた適切な治療法の選択へと繋がり,救急医療を含めた診療現場で機動力を発揮するとともに,さらなる救命率の向上が期待される.

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© 2008 (一財) 日本消化器病学会
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