2008 年 105 巻 9 号 p. 1325-1329
疫学の視点からBarrett食道癌について文献をレビューした.Barrett食道癌のリスクは,胃液の逆流,喫煙,肥満によって上昇し,H.pylori感染,野菜,果物,食物線維によって低下する.わが国では,これまでのところ増加はみられないが,H.pylori感染率の低下にともなって,噴門部の胃癌とともに将来増加する可能性がきわめて高い.がん登録事業の充実によって,この癌の罹患(発生)率を厳重に監視していく必要がある.同時に,発生予防や早期診断方法を確立していくことが,増加する癌への備えとして重要である.