2010 年 107 巻 10 号 p. 1676-1685
症例は63歳,男性.Stage IVaの膵尾部癌に対して膵尾脾合併切除術を施行.術後にGemcitabineで術後補助療法を行った.16コース終了後に労作時の呼吸困難および下腿浮腫にて入院.溶血性貧血および血小板減少,腎機能障害を認め,腎生検の結果より,Gemcitabineによる溶血性尿毒症症候群と診断した.血漿交換および血液透析などにて治療を行ったが,腎不全は進行し,慢性透析となった.術後37カ月の現時点で,膵癌の再発はなく,経過観察中である.