日本消化器病学会雑誌
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Print ISSN : 0446-6586
今月のテーマ:薬剤起因性腸管障害
低用量アスピリンの腸管傷害―既存の疾患への影響も含めて―
柴田 知行鎌野 俊彰平田 一郎
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2010 年 107 巻 12 号 p. 1910-1915

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抄録

低用量アスピリン(low-dose aspirin;LDA)の腸管に対する副作用については,これまで十分に検証されていなかった.最近,虚血性心疾患や脳血管障害の二次的発症予防目的でLDAの長期服用患者が増加していることから,LDAによる腸管傷害は増加することが予想される.LDAによる腸管傷害は小腸・大腸ともに認められ,小腸では多発潰瘍や膜様狭窄,大腸では潰瘍型と腸炎型の存在が明らかとなっている.治療として今のところPG製剤の有効性が示されているが十分なデータとはいい難い.今後のさらなる研究が期待される.

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© 2010 (一財) 日本消化器病学会
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