2010 年 107 巻 12 号 p. 1916-1926
collagenous colitisの臨床像と内視鏡所見の特徴,病態,および診断と治療について概説した.本症は1970年代に初めて報告され,北欧・北米で症例が蓄積された疾患である.中・高年の女性に好発する持続性の下痢が主たる臨床像であり,組織学的に大腸上皮直下の粘膜固有層に膠原線維帯(厚さ10μm以上)がみられる.大腸内視鏡所見はほぼ正常とされてきたが,本邦では血管網増生,顆粒状粘膜,易出血性,線状粘膜欠損が比較的高率に認められている.非ステロイド性消炎鎮痛に加えて,最近ではプロトンポンプ阻害薬が発症に関与する可能性が示唆されている.しかしながら,発症メカニズムに関してはいまだ不明である.