2010 年 107 巻 3 号 p. 396-406
切除不能膵癌153例を対象に,65歳未満の若年者,75歳以上の後期高齢者とその間の前期高齢者に分け治療成績を比較検討した.対症療法選択例での理由は後期高齢者では家族の希望が,他の年齢層では全身状態不良が最多であった.gemcitabine(GEM)治療例では各年齢層間で奏効率や副作用の他,副作用によるGEMの減量·休薬および中止率にも差がなかった.背景およびGEM治療への反応を用いた多変量解析では年齢的因子は導出されず,重要因子はGEM治療によるCA19-9値とperformancestatusの変化であった.高齢者切除不能膵癌例に対するGEM治療は若年者と同様に安全かつ有効であった.