日本消化器病学会雑誌
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Print ISSN : 0446-6586
症例報告
自然退縮傾向を示した肝細胞癌の1例
原田 岳坂口 孝宣稲葉 圭介中村 利夫倉地 清隆深澤 貴子中村 光一沢柳 智樹原 竜平井田 勝也今野 弘之
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2010 年 107 巻 3 号 p. 432-441

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抄録

症例は70歳男性.肝門部とドーム下に肝腫瘍を指摘され受診された.門脈腫瘍塞栓をともなうStage IVの肝細胞癌と診断し,近医経過観察の方針となった.その後は症状の増悪なく経過し,初診から28カ月後の画像診断で腫瘍は著明に縮小していた.退縮に関わる因子として,門脈腫瘍塞栓による腫瘍血流の減少と,イミダプリル,補中益気湯の抗腫瘍効果が考えられた.肝細胞癌の自然退縮症例はまれであり,文献的考察を含め報告する.

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© 2010 (一財) 日本消化器病学会
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