2010 年 107 巻 4 号 p. 559-568
胃食道逆流症(GERD)に対する外科治療は,腹腔鏡下逆流防止手術(LARS)の登場により,増加してきた.噴門形成術としては,全周性のNissen法が多く用いられているが,術後の嚥下障害が少ない非全周性のToupet法が増加してきている.良好な治療成績が得られているが,LARSでは,軽症型の食道裂孔ヘルニアの再発がおこりやすい可能性がある.Collis胃形成術やメッシュの適応を含め,術式の改良が行われてきているが,個々の症例の病態から手術適応と術式の選択を判断する必要がある.非びらん性逆流症(NERD)は,病的酸逆流,酸や非酸逆流に対する食道過敏症,逆流の関与しない機能性胸焼けに分類されるが,手術適応にあたり,病態の解析が可能な多チャンネル・インピーダンスpHモニタリング検査が有用な診断法となってきている.