2011 年 108 巻 1 号 p. 68-73
症例は67歳男性.von Recklinghausen病(以下VRD)の経過中,右下腹部痛を主訴に当院を受診した.高度の炎症反応をともない,腹部CT検査で回盲部に最大径14cmの腫瘤を認めた.虫垂腫瘍にともなう虫垂炎と診断し,回盲部切除術,D2郭清を施行した.病理組織学的検査では虫垂壁にplexiform neurofibromaの所見を認め,神経線維腫と診断した.VRDにともなう虫垂の神経線維腫はまれだが,虫垂炎の合併や悪性化の可能性があるため注意を要する.