2011 年 108 巻 3 号 p. 381-387
クローン病発症初期は腸管に炎症を認めるのみであるが,時間経過とともに狭窄・瘻孔・穿孔などの合併症を有するようになり,約8割以上の患者が一生に1度以上の手術を必要とする.この自然経過は従来のクローン病治療で変えることはできないと報告されていた.最近になり免疫調節剤,抗TNFα製剤の早期使用がクローン病の自然経過を変えうることが明らかとなってきた.しかしすべてのクローン病症例に早期の抗TNFα製剤投与をすることは過剰治療であり,今後は予後不良症例を確実に予測するマーカー探索が重要課題となる.