日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
総説
脳死肝移植の現状と展望
川崎 誠治石崎 陽一
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2011 年 108 巻 5 号 p. 717-722

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抄録

わが国の脳死肝移植は欧米に大幅に遅れをとり,1997年の臓器移植法施行より2009年までの約12年間に67例しか脳死肝移植は施行されなかった.しかしながら,2010年より施行された改正臓器移植法により本人の意思確認がなくても家族の同意による臓器摘出が可能となりその数は急速に増加し,2010年8月から2011年2月の7カ月間に39例の脳死肝移植が施行された.成績も海外の移植成績と遜色なく,脳死肝移植が終末期肝疾患に対する有効な治療法であることが改めて示された.今後はより細かな脳死移植選択基準の設定,臓器輸送時間の短縮のため同一地域内での臓器摘出ならびに移植実施,臓器移植に関わる救急医療の整備などが課題である.

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© 2011 (一財) 日本消化器病学会
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