2012 年 109 巻 10 号 p. 1703-1713
機能性ディスペプシア(FD)の症状出現には,胃運動障害,内臓知覚過敏,心理社会的要因などが複合的に関与し,これらは脳腸相関を介して相互に影響を及ぼしている.心理社会的要因は症状の重篤度や受療行動,治療反応性や健康関連QOLなどと関連し,胃の知覚運動能にも影響を及ぼすことが知られている.FDの診療においてはその複雑な病態を理解し,心理社会的側面にも配慮した対応が求められる.心理社会的要因の関与が大きく治療抵抗性を示すFD患者では,早い段階から心療内科医や精神科医と連携した治療を行うことも必要である.