2012 年 109 巻 10 号 p. 1722-1729
機能性ディスペプシア(FD)の治療薬として酸分泌抑制薬が主として用いられている.運動機能改善薬に関しては,新規薬剤の開発も進んでおり,注目が集まっている.Helicobacter pylori除菌治療は,その有効率は低いが,有効であった場合は長期にわたってその効果が持続する.抗不安薬は有効であるとの報告もあるがまだ報告数が少ない.抗うつ薬に関してはその効果の実証のために現在大規模臨床研究が進行中である.グレリン値の上昇などの効果を有する漢方薬がFDの治療薬として最近用いられている.FDは複数の要因によって発症するため,発症に関わる要因に応じて治療薬を選択することにより治療効果が期待できる.