2012 年 109 巻 2 号 p. 165-172
IPMNの認識と理解は深まったが問題はいくつかある.混合型の分類を画像診断でするのか組織学的にするのかが曖昧であるが,手術適応に影響するから術前に画像診断で行うのが望ましい.IPMNと非粘液性嚢胞との鑑別は手術適応を左右するが不確実な例もある.EUS-FNAで得た内容液の分析が有用であるが適応拡大して悪性度診断に使う場合の安全性は未確認である.分枝型IPMNの悪性度診断は壁在結節が最良因子であるが他は信頼度が低く,嚢胞径3cm以上を切除すると約80%が良性で,組織学的亜型を含め,より精度の高い悪性指標を要する.経過観察の目標は悪性化,併存癌および切除後再発の診断であるが,方法と間隔と期間は未解決である.