2012 年 109 巻 5 号 p. 722-727
本邦では,食道アカラシアの治療としては,内服加療,内視鏡的バルーン拡張術,手術療法による加療が一般的である.ボツリヌス毒素(BTX)は,運動神経終末でアセチルコリン放出を阻害して,亢進した下部食道括約筋圧を低下させ嚥下障害などの症状を改善する.欧米ではBTX局所注入による保存的加療が標準治療の1つとされている.BTX局注療法は,簡便かつ副作用がほとんどなく,投与法の工夫で他の治療に匹敵する効果を得ることができる.今後,本邦でも食道アカラシアの治療法の1つとして位置づけを検討する必要がある.