2012 年 109 巻 9 号 p. 1541-1545
アルコール性消化器疾患患者に対する,日常生活の注意について述べる.アルコール依存症をともなう患者,肝硬変,慢性膵炎の患者では断酒指導が基本となる.一方,検診で発見される肝機能障害の大部分は脂肪肝であり,肥満,糖尿病,脂質異常症をともなう場合も多く,メタボリック症候群の合併症である動脈硬化を予防する意味でも,断酒ではなく適量飲酒を指導できることが望ましい.アルコール性肝硬変においても,肥満が疾患の進行を早めることが明らかにされており,減量のために食事の制限や適度な運動の指導が必要となる.飲酒と肥満が重なると,死亡率が増加することが報告されており,肥満対策が今後の課題である.