2013 年 110 巻 10 号 p. 1731-1737
食道癌に対するESDは,EMRと比較するとより広範な病変に対して一括切除が可能で局所再発率が低く,根治性の面で優れていることから急速に普及しており,前向き試験での検証も行われつつある.ESDによる穿孔を中心とした合併症頻度は,EMRと差がなく安全性は同等という報告が多いが,長い治療時間を要する高度な手技であり,初心者が行う体制は慎重に構築する必要があり,トレーニング法の確立は重要である.また,適応拡大において最も大きな課題であったESD後の食道狭窄は,ステロイド投与などの予防法の開発や,再生医療の応用で克服されつつある.食道癌に対するESDの論文報告を中心に概説し,今後の課題について考察した.