2013 年 110 巻 9 号 p. 1602-1610
近年,ヨーロッパ系集団(欧米人)を対象としたゲノムワイド関連解析(GWAS)により,PBCの疾患感受性遺伝子としてHLA領域の遺伝子多型の他に,IL12/IL12Rシグナル伝達,TLR/TNFα-NFκBシグナル伝達などに関連する計21の遺伝子多型が同定された.本邦においても全国規模のGWAS共同研究が実施され,日本人集団のPBCの新規疾患感受性遺伝子が2カ所(TNFSF15,POU2AF1)同定された.また,欧米人の疾患感受性遺伝子のうち約半数が日本人集団でも疾患感受性遺伝子であることが確認された.欧米人と日本人との間にはPBCの疾患感受性遺伝子に集団差を認めるものの,Tリンパ球のTh1/Th17への分化(TNFSF15,IL12A,IL12RB2,STAT4)や,Bリンパ球の形質細胞への分化(POU2AF1,IKZF3,SPIB)経路が,共通した疾患発症経路であることが示唆された.