2014 年 111 巻 1 号 p. 4-13
非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の主体はメタボリックシンドロームの肝臓における表現型であり,非アルコール性脂肪肝(NAFL)から非アルコール性脂肪肝炎(NASH)として肝硬変・肝癌に至る進行性の肝病変を包括する疾患概念である.NAFLDの病態には遺伝的素因,エピジェネティック制御機構や遊離脂肪酸の脂肪毒性に加え,腸内細菌叢のバランスや自然免疫系などが関与している.NAFLD進展防止の基本は生活習慣改善であり,ビタミンEやチアゾリジン系薬剤の有効性について一定の臨床的エビデンスが得られているが,長期成績や安全性の検証が今後の課題である.また,新規治療薬の開発も期待される.