2014 年 111 巻 11 号 p. 2113-2120
直腸癌局所再発に対して,唯一根治が期待できる治療は外科的な完全切除(R0)であるが,骨盤全摘や仙骨合併切除などの過大な侵襲をともなう手術がしばしば必要となり,QOLの観点からも術前にR0手術が期待できるような症例でなければ手術を行うべきではない.集学的治療の恩恵もR0手術を得てこそ期待されるが,そのためには治癒切除率を上げ,術後の遠隔転移を抑制するという2つの目的をかなえる必要がある.術前画像を用いた局所再発巣のtypingは,術後の癌遺残や遠隔転移の高危険群の抽出に役立つ可能性があり,このような分類を利用した集学的治療によって,さらなる治癒切除率の向上が期待される.