膵液胆道内逆流現象は膵・胆管合流異常(PBM)でみられ,胆道内に逆流した膵液が胆汁と混和し,胆道粘膜を障害することによって胆道癌の発生を促す病態とされている.一方,正常膵胆管合流例においても膵液胆道内逆流が生じ,一部の症例ではPBM同様胆道癌の発生に関与しているとの報告が散見される.正常膵胆管合流例における膵液胆道内逆流はさまざまな病態でみられるが,特に比較的長い共通管を有する症例では高率に認められ,さらに胆汁中アミラーゼ異常高値例の胆嚢では,病理組織学的にもPBM類似の変化が観察される.正常膵胆管合流例における膵液胆道内逆流と胆道癌の発生について,さらなる病態解明が必要である.