食道胃接合部癌のリンパ行性転移は縦隔側と腹側の両方に見られ,縦隔リンパ節を郭清するためのアプローチ法としては,食道浸潤長が3 cm以内のSiewert II・III型の腺癌に対しては開腹経裂孔アプローチ,その他の腺癌や扁平上皮癌に対しては右開胸アプローチが標準的と考えられる.一方,腹腔内リンパ節を郭清するための胃切除術式としては,扁平上皮癌やSiewert I・II型の腺癌に対しては胃局所切除(胃管)や噴門側胃切除で十分と考えられるが,その他の腺癌に対しては胃全摘が必要と考えられる.正確なリンパ節転移割合を元に至適郭清範囲を決定するため,多施設共同前向き研究が現在進行中である.