日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
総説
新たな臓器としての腸内細菌叢
安藤 朗
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2015 年 112 巻 11 号 p. 1939-1946

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抄録

ヒトは進化の段階で4つの門に属する細菌を選択し,腸内細菌として備えている.腸内細菌はヒトには備わっていない機能を通してヒトの生命維持に重要な役割をはたしている.われわれは,腸内細菌が食物繊維を分解して生じる短鎖脂肪酸(酢酸,プロピオン酸,酪酸)を利用してエネルギーホメオスタシスを維持している.一方,ヒトは腸内細菌と共生するために,複雑かつ巧妙に制御された免疫機構を発達させてきた.われわれのからだはヒトと細菌からなる超生命体と呼ばれるが,分子生物学的解析法の進歩によりヒトと腸内細菌の共生関係の詳細が明らかにされつつある.今回の特集に当たり,腸内細菌とその機能について概説する.

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© 2015 (一財) 日本消化器病学会
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