2015 年 112 巻 11 号 p. 1947-1955
ヒトの腸管内には100兆個もの細菌が存在しており,腸内細菌叢を形成している.炎症性腸疾患(IBD)の詳細な病因はまだ解明されていないが,腸内細菌叢の乱れ(dysbiosis)が病態に重要であると考えられている.メタゲノム解析やノトバイオート技術の革新により,IBD患者の腸内細菌叢でどのような役割の菌の増減があるか,という点や,個々の菌種がTh17細胞や制御性T細胞あるいはマクロファージなどの免疫担当細胞の挙動に影響を与えるメカニズムについても解明されつつある.さらに,腸内細菌叢をターゲットとしたIBDの治療法についても研究が進められている.