日本消化器病学会雑誌
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今月のテーマ:膵癌治療の現状と展望
膵癌外科治療の現状と将来展望
海野 倫明
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2015 年 112 巻 12 号 p. 2113-2118

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抄録

膵癌は最も治療成績の不良な癌であるが,近年の癌化学療法の発達により,少しずつ治療成績が向上してきた癌でもある.外科治療においては,5つのランダム化比較試験によって拡大手術はほぼ否定され,現在,標準郭清が推奨されている.術後S-1による補助化学療法も標準療法としてほぼ確立されたといえよう.現在,さらなる治療成績の向上を目指し術前治療が注目され多くの施設で行われているが,いまだエビデンスとして確立されたものはないため,術前治療は臨床研究として行われるべきである.現在,切除可能膵癌に対する術前治療の有効性・安全性の第III相臨床研究が行われている.その結果を緒としてさらなる臨床研究により,膵癌の外科治療成績向上がもたらされるものと考える.

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© 2015 (一財) 日本消化器病学会
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