2015 年 112 巻 2 号 p. 232-241
食道への胃酸および胆汁酸の逆流は,Barrett食道癌発生においても重要な因子のひとつである.胆汁酸はNF-κBを介して細胞増殖活性を亢進させ,CDX2を介して腸上皮化生の発生に関与している.慢性炎症にともなう種々のサイトカインの関与も重要である.一方,H. pylori感染は胃粘膜萎縮,胃酸分泌の低下を介してBarrett食道の発生に抑制的に働いていると考えられる.また,Barrett食道癌の発生には,H. pylori感染の有無にかかわらず胃酸分泌が保たれていることが重要である.さらに,食道内腔で発生するNOがBarrett食道発生のみならず,その癌化にも関与している可能性が示唆されている.