日本消化器病学会雑誌
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総説
胆嚢癌の前癌病変
鬼島 宏羽賀 敏博高綱 将史太田 理恵袴田 健一福田 眞作
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2015 年 112 巻 3 号 p. 437-443

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抄録

WHO分類2010では,胆嚢の前癌病変として,腺腫,胆道上皮内腫瘍(BilIN),胆嚢内乳頭状腫瘍(ICPN),および粘液嚢胞性腫瘍が記載されている.胆嚢の前癌病変とは,正常組織よりも高い頻度で胆嚢癌が発生する病変・組織のことであり,胆嚢癌の多くが特定の前癌病変より発生していることを意味するものではない.一方,胆嚢癌のハイリスクな病態は,胆嚢粘膜の持続的な炎症により細胞変異が惹起されて,発癌に至る.ハイリスク病態としては,膵・胆管合流異常,胆石症,胆嚢ポリープ,胆嚢腺筋腫症などが挙げられる.また,発癌母地としては,異形成,化生上皮,過形成性上皮が重要視されている.

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© 2015 (一財) 日本消化器病学会
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