日本消化器病学会雑誌
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Print ISSN : 0446-6586
今月のテーマ:胆嚢隆起性病変の診断と取扱い
胆嚢腺筋症の診断と取扱い
木田 光広長谷川 力也松本 高明三島 孝仁金子 亨徳永 周子山内 浩史奥脇 興介宮澤 志朗岩井 知久竹澤 三代子菊地 秀彦渡辺 摩也今泉 弘小泉 和三郎
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2015 年 112 巻 3 号 p. 456-463

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抄録

胆嚢腺筋症は,1960年にJutrasによりRASの増殖とそれにともなう胆嚢壁の肥厚を引きおこす病態として報告され,武藤らにより胆嚢壁1 cm以内にRASが5個以上存在し,壁が3 mm以上に肥厚したものと定義された.病変の広がりにより胆嚢全体に瀰漫性に存在するびまん型(G型)diffuse type,胆嚢頸部や体部あるいは両方にまたがり輪状に存在し,胆嚢を2つに分節する分節型(S型)segmental type,胆嚢底部に限局的に存在する底部型(F型)fundal typeの3つに分類される.画像診断では胆嚢癌との鑑別が重要で,胆嚢腺筋症は胆嚢壁の肥厚と,拡張したRASが診断の決め手であり,簡便な腹部超音波検査でスクリーニングされ,診断能の高い検査は超音波内視鏡(EUS)とMRIである.胆嚢腺筋症は,40~60歳代の男性に多く診断される.胆嚢癌との関係は疑われているがコンセンサスは得られていない現状では,定期的な経過観察が必要と思われる.

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© 2015 (一財) 日本消化器病学会
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