2015 年 112 巻 6 号 p. 1046-1053
91歳女性.鮮血便を主訴に受診され,大腸内視鏡検査にて直腸Rbに潰瘍をともなった粘膜下腫瘍を認めた.出血部に対してアルゴンプラズマ凝固法(APC)にて止血を行った後超音波内視鏡下穿刺吸引法(EUS-FNA)にてgastrointestinal stromal tumor(GIST)と診断した.経過中に再度出血をきたしたため経カテーテル動脈塞栓術(TAE)にて左右の内腸骨動脈を塞栓し,止血を得た.退院後の内視鏡検査,CT検査では腫瘍の著明な縮小を認めた.直腸GISTに対してTAEで止血のみならず腫瘍縮小効果を報告した例はまれであり,ここに報告する.