日本消化器病学会雑誌
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今月のテーマ:H. pylori感染胃炎の診断と治療
Helicobacter pyloriの感染診断と除菌判定
加藤 智惠子杉山 敏郎
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2015 年 112 巻 6 号 p. 994-999

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抄録

現在保険適用があるHelicobacter pyloriH. pylori)診断法は迅速ウレアーゼ法,鏡検法,培養法,尿素呼気試験,抗H. pylori抗体測定法,便中H. pylori抗原測定法である.H. pyloriの診断は感染診断と除菌判定に分けられる.感染診断はH. pyloriの存在診断であり感度が重要であるが,それぞれの検査法の診断精度には大きな差はない.これに対して,除菌治療後の除菌判定は,特異度が重視され,尿素呼気試験,単クローン抗体を用いた便中抗原法が推奨される.各々の検査法には利点,欠点があり,ひとつの方法で完全に診断可能な検査法は存在しない.その特徴を理解して検査法を選択することが肝要である.また,頻度は低いものの,除菌後の再陽性化についても留意しなければならない.

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© 2015 (一財) 日本消化器病学会
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