2015 年 112 巻 8 号 p. 1479-1483
「膵癌に罹患した一対以上の第一度近親者がいる家系で,既知の家族性癌家系を除いたもの」を家族性膵癌家系と定義する.家族性膵癌家系における膵癌発生リスクは,一般家系の約9倍と有意に高い.膵癌発生リスクは,第一度近親者の膵癌患者数とともに上昇し,2人の第一度近親者に膵癌患者がいる場合には一般家系の約6.4倍であるが,3人以上の場合には約32倍となる.膵癌のうち5~10%が家族性膵癌であることが判明している.したがって,家族性膵癌は,膵癌のリスクファクターとして非常に重要である.しかし,家族性膵癌を引きおこす遺伝子異常などのメカニズムには不明な点が多く残されている.