2015 年 112 巻 8 号 p. 1484-1491
膵癌は近年,増加している癌の1つであり,本邦における癌の死因において,全体で第4位となっている.しかし膵癌早期発見・診断はいまだ困難な状況にあり,従来の診断法のみならず,新たな早期発見・診断法の開発や工夫が急務とされている.その中でも近年,血液,唾液によるトランスレーショナルリサーチや,内視鏡を用いた早期診断の検討も行われている.現状においては,「科学的根拠に基づく膵癌診療ガイドライン」による診断アルゴリズムに基づき,消化器病の患者のみならず広く危険群を絞り込み,それらに対する画像診断および病理組織検体の採取を普及させることで,今後早期発見率の向上につながると考えられる.