日本消化器病学会雑誌
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今月のテーマ:アルコール性肝障害を再考する
アルコール性肝細胞癌の病態
泉 並木
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2015 年 112 巻 9 号 p. 1651-1656

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抄録

わが国ではウイルス由来の肝癌が減少しているが,非B非C型肝癌が増加し,この中にアルコール性肝障害(ALD)由来の肝癌も含まれる.全国集計でもアルコール由来の肝癌が増加し,欧米に近づいている.加齢や血小板低下,糖尿病合併が肝発癌のリスク因子になり,HBc抗体陽性の場合に肝発癌が多いという報告がある.近年遺伝子多型が肝発癌に関与するという報告が多く,特にPNPLA3の関与が指摘されている.経過中に良性多血性結節がみられる場合があり,肝癌との鑑別が重要で,Gd-EOB造影MRIや造影超音波が有用である.ALD由来の肝癌では進行した状態で発見される場合が多いが,早期に発見された場合には比較的予後は良好である.

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© 2015 (一財) 日本消化器病学会
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