日本消化器病学会雑誌
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今月のテーマ:先天性胆道拡張症の最前線
先天性胆道拡張症の外科治療と長期予後
安藤 久實
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2016 年 113 巻 12 号 p. 2022-2028

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抄録

先天性胆道拡張症に対する治療の歴史は内瘻術に始まった.しかし,術後の結石形成や胆道癌の合併という大きな問題が明らかとなり,膵液と胆汁の流出路を分離して胆管壁の化学的変化を防止するとともに,癌の発生母地である拡張胆管を可及的に切除して癌発生の可能性を低下させる,という分流手術が標準術式となった.ところが,分流手術後にも結石の発生や発癌が新たな問題となっている.これは先天性胆道拡張症が抱える発癌性という根本的な問題であるのか,それとも不完全な手術にともなうものであるのかを今後検証する必要があるが,現時点では膵内胆管を完全に切除し,肝管狭窄への対処を行うことが重要と考える.

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© 2016 (一財) 日本消化器病学会
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