鑑別が問題となるのは肝門に浸潤した肝内胆管癌と肝門部胆管癌であり,両者の比較では性別,症状などに差がみられるほか,肝内胆管癌ではリンパ節転移が多く,胆管内腫瘍栓を形成する例があるなど,臨床病理学的に差がある可能性がある.しかし,肝内胆管癌の診断に重視していた肝内腫瘤が肝実質かグリソン内かの判定が難しい例,病理学的にも区別困難な例が存在する.規約改訂により肝門部領域胆管が定義され,肝内腫瘤の有無にかかわらず肝門部領域胆管癌として広く扱うことになった.診断は容易となるが,2つの疾患の集合である可能性を考慮した症例集積は必要である.術前胆道ドレナージについては,両者とも残存予定肝へのENBDが第一選択に位置する.