日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
今月のテーマ:GERD診療の進歩と問題点
食道裂孔ヘルニアと酸逆流
岩切 勝彦星野 慎太朗川見 典之
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2017 年 114 巻 10 号 p. 1774-1780

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抄録

裂孔ヘルニアが逆流性食道炎発症の原因である食道内の過剰な酸曝露に及ぼす影響については,必ずしも明確でない.近年,食後の胃内の食事層の上方に出現する酸の層が食後の酸逆流の供給源として注目されている.この酸の層はacid pocketと呼ばれる.Acid pocketが裂孔ヘルニア内に存在する場合には,酸逆流の主なメカニズムである一過性下部食道括約筋(LES)弛緩時に高頻度に酸逆流をともなう.裂孔ヘルニアと食道内酸排出に関しては,常時ヘルニア囊を有する症例において,ヘルニア内と食道内圧の圧勾配により,ヘルニア内に酸が存在する場合には,嚥下にともない酸がヘルニア内と食道内の移動を繰り返す結果,食道酸排出時間が延長する.

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© 2017 (一財) 日本消化器病学会
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