2017 年 114 巻 10 号 p. 1781-1789
本邦のGERD疫学について最近の動向を総説した.1990年代後半から著明に増加してきたGERD有病率は最近緩やかな増加に留まっている.日本人の酸分泌能がこの20年間で変化していないことやGERD概念が既に広く浸透したことが要因と思われる.一方,Helicobacter pylori除菌療法の普及,睡眠障害の増加,肥満や内臓脂肪との関連などは,GERD疫学に影響を与える新たな因子といえる.一方,非びらん性GERDについては,Rome IV基準で提案されている病的な酸逆流と関連しない逆流過敏症や機能性胸やけとの鑑別により,疾患概念が変化しつつある.