日本消化器病学会雑誌
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総説
早期慢性膵炎:課題と展望
下瀬川 徹
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2017 年 114 巻 12 号 p. 2089-2096

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抄録

「慢性膵炎臨床診断基準2009」は,世界に先駆けて早期慢性膵炎の診断基準を提案した.国内外で早期慢性膵炎の病態,診断,治療について議論が活発化している.2016年に慢性膵炎の新しい定義“new mechanistic definition”が提唱され,その概念的モデルで早期慢性膵炎は「再発性急性膵炎」と「確実な慢性膵炎」の間に位置づけられ,緩解しうる病態と捉えられている.しかし,精度の高い診断のためには,感度・特異度に優れる新たなバイオマーカーや画像診断技術の開発が必須である.慢性膵炎の早期診断と早期の治療介入は膵癌の合併を予防し,患者予後の改善につながることが期待される.早期慢性膵炎をめぐる現状と課題ならびに展望について述べた.

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© 2017 (一財) 日本消化器病学会
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