2017 年 114 巻 9 号 p. 1602-1610
肝細胞癌(肝癌)に対する肝動脈化学塞栓療法(TACE)は,切除不能肝癌患者に対して広く行われている治療法である.近年,新しいデバイスの導入やカテーテル性能の向上により,DEB-TACEやB-TACEといった新しい方法が施行可能となり,従来法との比較が始まっている.また,種々の薬物療法を併用してTACEの治療成績向上を目指す試みや,よりTACEに適した症例を選別する試みも始まっている.これらの試みはいまだ道半ばであるが,着実にエビデンスが積み上げられている.