2018 年 115 巻 1 号 p. 27-35
B型慢性肝炎に対する抗ウイルス療法は,現在インターフェロン(IFN)療法と核酸アナログ製剤が主体となっている.特に核酸アナログ製剤の治療効果は高く,エンテカビル(ETV)承認後はや耐性ウイルスの出現は低率となり,アデホビル(ADV)やテノホビルジソプロキシルフマル酸塩(TDF)承認後は,耐性ウイルスに対するレスキューもほとんどの症例で可能となった.また肝発癌をきたす症例は核酸アナログ投与により減少しつつある.しかしながら核酸アナログ製剤によるHBs抗原陰性化はいまだ低率である.さらに治療期間が10年以上の症例も増加しており,症例の高齢化や,腎機能や骨への影響といった新たな問題に直面してきている.