肝疾患におけるサルコペニアの誘因として,蛋白エネルギー低栄養状態,性ホルモンの異常,アンモニア高値と分岐鎖アミノ酸(BCAA)低値などが挙げられる.特に,アンドロゲンの低下とアンモニア高値は筋蛋白合成を直接阻害するとともに,ミオスタチンを誘導する.このため,肝疾患ではサルコペニア合併率が高く,肝疾患は二次性サルコペニアの代表格である.さらに,サルコペニア合併者は予後不良であるため,サルコペニアを診断し適切な介入を行うことは肝疾患の臨床において重要である.このため,日本肝臓学会は,2016年に肝疾患におけるサルコペニア判定基準を策定した.本基準の根拠を示すとともに,今後検討を要する点についても言及する.