肝胆膵移植外科領域においては,手術患者の高齢化による一次性サルコペニア患者の増加に加え,術前低栄養や担癌状態,手術侵襲,術後臥床による活動性の低下など,二次性サルコペニアを有することが多く,サルコペニアは重要な意義を有する.われわれは,肝胆膵移植外科領域において,術前サルコペニアや内臓脂肪肥満が予後不良因子であることを明らかにした.したがって,従来の術前評価に加え,筋肉量や質,内臓脂肪などの体組成評価は,患者の全身状態や耐術能,予後を正確に評価するためにきわめて有用である.今後,肝胆膵移植外科領域において,サルコペニアをターゲットとした栄養・リハビリ介入が予後向上のブレークスルーとなるであろう.