2018 年 115 巻 7 号 p. 597-604
バルーン内視鏡検査や小腸カプセル内視鏡検査の登場で,小腸腫瘍の検索難度は以前より低下しつつある.小腸原発悪性腫瘍として,本邦では悪性リンパ腫,小腸癌,gastrointestinal stromal tumorが多い.バルーン内視鏡での生検が可能になったことで,小腸癌で早期診断により治療成績が改善する可能性や,リンパ腫治療で外科的腸管切除を省略しうる可能性が示唆されている.良性腫瘍では過誤腫や腺腫の頻度が高い.過誤腫性ポリポーシスをきたすPeutz-Jeghers症候群では,内視鏡的治療を繰り返すことにより外科的手術を回避できる.今後も小腸腫瘍の領域における更なる進歩,発展が望まれる.