日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
今月のテーマ(総説):膵β cell replacement therapyの最前線
膵臓移植の現況と未来
剣持 敬伊藤 泰平
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2018 年 115 巻 8 号 p. 691-699

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抄録

脳死膵臓移植は重症1型糖尿病の根治療法として1960年代に開始された.現在までに世界で40000例以上の臨床例があり,80%以上が膵・腎同時移植である.成績も年々向上し,現在は腎移植と同様良好である.また生体膵臓移植も実施され,好成績となっている.膵臓移植の課題として移植後の静脈血栓症があげられるが,当施設で実施している造影超音波検査は血栓の同定に有効であり,早期治療が可能であり推奨される.さらに膵島移植の成績も向上しており,特に腎移植後,腎不全をともなわない1型糖尿病に対する第一選択の移植治療法となる可能性もある.将来的にはiPS細胞,ES細胞を用いたβ細胞創生による再生医療,Muse細胞を用いた修復治療などにも期待がかかる.

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© 2018 (一財) 日本消化器病学会
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