日本消化器病学会雑誌
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今月のテーマ(総論):肝炎ウイルス制御時代の肝疾患診療
肝炎ウイルス制御時代の肝疾患診療
茶山 一彰
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2018 年 115 巻 9 号 p. 765-767

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抄録

肝硬変,肝細胞癌の原因となるB型肝炎ウイルス,C型肝炎ウイルスの治療は近年格段に改善し,C型では100%に近い症例でウイルス排除が可能となった.しかし,ウイルス排除後の肝細胞癌の発症はある程度の頻度で認められるため,慎重な経過観察が必要である.また,ウイルス排除にともなう肝細胞癌の急速な進展,B型肝炎ウイルスの活性化にも注意が必要である.一方B型肝炎は核酸アナログの投与によりウイルス増殖の抑制,病態の進展の抑制は可能となった.しかし,肝細胞癌の発症はなくなるわけではなく,この点にも注意が必要である.最近非B非Cの肝細胞癌が急速に増加してきており,その原因となる自己免疫性肝炎,脂肪性肝炎,アルコール性肝障害などが新たな課題となっている.

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© 2018 (一財) 日本消化器病学会
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